豪雨のわずかな隙間に

井原山雷山     12.7.15()
    983m              955m       記録  米倉暢子

 

[参加者] 21

CL林田哲郎   竹下幸枝   宮崎三郎  菊川保則  山崎幸美  冨田けい子

SL日高 沖   前田文子  西岡 勝   瀬戸友子  新岡哲子   北島俊郎

BL永吉悦子  古賀正弘  古賀幹子  今泉和人   前田文子   大家節夫

井本眞由美   中村常義  牧原辰夫

 

[行 程]

 唐津=======雷山観音駐車場------洗谷登山口------奇特橋------アンの滝--

  7:00   :30        8:40~9:00           9:45         10:00       11:00

 ----水無分岐------縦走路---(井原山)---雷山------清賀ノ滝------雷山観====唐津

      12:00        12:50     13:00  15:00~40    16:45        17:20      18:00

 

[記 録]

 「これまでに経験したことのないような大雨」が続いている北部九州。家の雨量計も(廃棄した平底鍋のことだけど) 12日〜14日にかけて3回満杯、200mm以上の大雨が降ったことになる。地球温暖化で起きている諸現象の中でも、この熱帯雨林を思わせるような豪雨は、九州人にとってはいちばん恐ろしいものの一つである。 

 15日は大雨も小康状態となった。予定通りに月例は決行となる。雨模様にかかわらず一般参加者もあり、今期としては多数の参加者である。打ち合わせを入念にして、4台の車に分乗、鏡武道館を出発。

 雷山観音駐車場は、さすがに2台の車が駐車しているだけだった。自己紹介や、ラジオ体操、注意事項を確認してA班12名、B班9名に分かれ歩行開始。まずは井原・雷山中腹自然歩道、落ち葉が湿っているとはいえ緩やかな上り道で、みんなの足取りも軽い。普段はのんびり通るこの道も、そこかしこから水音がしてくる。湿度100%、汗は身体中から吹き出してくる。峠でひと休み。水分補給。

 洗谷登山口。登山口横の砂防ダムは、滝というより水が噴出して逆巻いている。この水を見ると、さすがにこの谷へ入る気にはなれない。谷の狭まっている沢の上部は、これまでの雨で崖崩れをおこしているのが予想されるし、何度も繰り返す沢の渡渉も危険度が大であろう。アンの滝経由の尾根道を登ることに変更して、奇特橋へ向かう。途中から雨も落ちてくる。ザックカバー装着。民家の前で、「こんな雨の中、山に登るンかい。」と言いたそうな人に出会う。

 奇特橋着。整備されて車が数台駐車している。農道をぬけ丸太橋を渡り山道に入る。初めの渡渉点。そう洗谷だけでなく、こちらも渡渉が数回あったのだ。しかも川幅は洗谷より広い。普段はちょろちょろ水だけど、今日は違う。石はすべて水没流れも速い。おそるおそる流れの中に足を運ぶ。何とか全員クリア。



キトク橋駐車場

 ぬれて滑りやすい岩混じりの道、増水でヒヤヒヤする荒沢の渡渉、、、と気のぬけない登りにとうとうKさん、アンの滝のちょっと手前でダウン。幸い旦那様が一緒に下山するということでお任せに。今日のアンの滝は見ごたえあり。ゴウゴウと岩場の全面を落下する水、その飛沫は登山道まで涼しさを運んでくる。滝見をしながら、しばし休憩。

アンの滝を過ぎると自然歩道の例に漏れず、階段状の道が出てくる。「あ〜あ、これから先急坂か。」と苦手な私は気が重い。最後の沢を渡り水無分岐を過ぎると、いよいよ尾根の急登が始まった。だんだん仲間から外れ、遠ざかっていく。何回も何回も休み呼吸を整えては登り、、、それでもやっぱりきつい。上の水無分岐まで1時間、まだまだ半分しか来ていないのだ。

林田CLが、遅れた2人をサポートしてくれる。「呼吸は、吐き方が大事。」と具体的に。そうなんですよね、分かっているんだけどそれができないんですよね。昔からそれができなくて、持久走も遠泳も駄目だったのです。山登りも然り、きついんですよね。、、、、 今日はアルプス遠征の体力づくりも兼ねた山行、「こんなにきつくて果たして登れるだろうか?」とそれが心配。露をためて鮮やかなヤマアジサイも、雨に洗われ白く輝く石灰岩も、ゆっくり眺めるゆとりは無い。息も絶え絶えひたすら登るのみ。

ようやく主尾根縦走路に到達。 奇特橋から山頂まで3時間もかかってしまった。申し訳ない。井原頂上までの15分を休息に当て体勢を立て直そうと、一人だけパス。 針路を雷山に取る。その前に昼食を、と思うが両岸は灌木やスズタケに覆われている。15分ばかり進んだところに座るのにちょうどいい岩が一つ。これでみんなと時間だけは同じに昼食にありつけたかなと、腰を下ろす。すでに下山しているだろう冨田さんたちB班に遅れることを電話して、ゆっくり40分かけコーヒーまで。その間、縦走路を数組の若者が通り過ぎる。

みんなが来るまで待っていたら、また自分だけ遅れるかもしれないと、腰を上げる。背の高さほどもあるスズタケは、たっぷりの水分で両側から首をもたげて道をふさぎ、急坂はぬかるんで滑りそう。いつもは唐津湾が見渡せる笹原も今日はミルクの中。それでも時おり涼しい風が尾根をわたり、ブナの大木は大手を広げ、一人でも十分楽しめる縦走だ。最後のピークを越える頃「オーイ。」と声がしたような気がした。「ハーイ。」と応えたけれど果たして聞こえたかな。



雷山途中のピークで休憩

スズタケの中を登ると雷山頂上。ヤッター、これでもう登りは終わりだ。予定ではもう下山している時刻。ルート変更、沢の水量や体調を狂わすほどの湿気と、いろんなことが重なり、ずいぶんと遅れてしまった。B班、ヤキモキしてるかな?

雲がゆっくりと流れ、周りの景色が見えたり隠れたり。玄界灘は遠くを霞めているけれど、くるり南の背振の山々は久々顔を出し緑が鮮やかだ。ゆったり気分で眺めを楽しみ仲間を待つ。やがてみんな元気に到着。

急坂を下り上宮までくれば、ホッとひと息。藍色に映えるヤマアジサイを眺めながら、樹林の中を下っていく。いく筋かの小谷を渡り清賀の滝へ。今日はこの滝も見事。横幅いっぱい、何段にもなって流れ落ちている。毎日毎日たくさんの雨が降ったのに、水は清く、冷た〜い!  滝見をしながらの最後の大休止。手持ちの水もここで終わり、無尽蔵()の林田さんのザックからみんな分けてもらう。

ここから登山口までの植林地の道は要注意。連日の雨で蘚苔のついた滑りやす

い岩がごろごろしている。ちょっと大型の岩あり、「大丈夫かな?」と思った瞬間、ズルッといきスッテン。左手のひらを嫌というほど打った。骨は異常ないもよう、ホッとする。用心、用心。

 予定より3時間ほども遅れて登山口へ。延々8時間、長くハードな山行でした。にもかかわらず、前列で軽やかに進む女性人を見て、「労山の女性は強い! 」と感心する初参加の大家さん、牧原さん。(もちろんその女性群に私は入っていないのですが。)そういうお二人も強い、はじめての道も臆することなくみんなと一緒にぐんぐん進むのですから。



雷山山頂での記念写真

Bコースの皆さん、本当にお待たせしました。途中で分かれた古賀さんご夫婦の笑顔を見てホッと安心。始めてご参加の中村さんも元気、よかった〜!.  待つ、というのはわずかでも長〜く感じるもの、それをあと一山登る時間を待たせてしまいました。でも、皆さん温かく迎えてくださいました。ありがとうございました。

 今日は、初めて参加の方も多い中に、コース変更はするワ、ジャブジャブの荒沢渡りはあるワ、8時間も山の中を歩かせられるワ、3時間も待たせられるワ、、、、と、大変な一日となりました。オマケに時間がかかり過ぎたからと温泉なし。

初参加の皆さん、面食らわれたことでしょう。でも、いつもこうではありません。今日ほど長時間の山行は年に一度あるかなしかです。これをみごとにクリアされた皆さんの元気には感動です。これからもぜひご一緒しましょう。

みんなを運んでくださった4人の運転士さん、ありがとうございました。