2008年夏 特別山行報告 7/20～24
知床・道東の山 記録 米倉暢子
羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳
1,660m 1,574m 1,499m
[参 加 者]
総括 宮﨑三郎 牧野勝支 永吉悦子 田中信公 前田文子 吉岡すみえ
ＳＬ 永江忠之 米倉暢子 田中 勝 北島敏郎 西岡 勝 井本真由美
会計 山崎欣治 上川淳悟 高尾秀人 古賀正弘 古賀幹子 大島明美
事務局冨田けい子 藤井 節 中村 正 宇津英子 新岡哲子 西村美智子
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[記 録]
7/20（日) 晴れ 【唐津～中標津空港～ウトロ温泉】
7:14 唐津駅出発。参加者は福岡空港までにそれぞれ最寄の駅より乗り込
む。
13:15 羽田乗継でほぼ定刻どおりに中標津空港着。経由地の羽田では、タ
ーミナル間をバスで移動。機内で乗り継ぐことを乗務員さんに知らせ
ていたので、待機中のバスで移動できたが、そうでなかったら大変な
ことになるところであった。羽田空港の端から端まで、いなかもんが
ウロウロぐずぐずしていたら、乗り遅れること必死。それほど長い移
動距離であった。
とにかく北の大地を踏む。北見観光のバス、２シートを一人で占有
でき（どうしても離れられない二人もいらっしゃいましたが）、今回
のようにバスでの移動が多いときは、なによりであった。
14:00 開陽台。広い根釧原野の向こう、根室海峡を挟んで国後島がくっきりと浮かんでいる。わずか18kmの距離という。海岸線が見え、動いている人が見えそうな近さであった。
15:30 野付半島トドワラ。トドマツの立ち枯れは、減少しているように感じた。それだけ厳しい冬ということだろう。ヒオウギアヤメの群落、ハマナスの鮮やかな色が周りの光景の中に溶け込んでいるのが不思議だった。
"あれが日本じゃない"というのが納得できない近さの国後島を右手に、左手は時々雲の中に見え隠れする知床の山々を見ながら、バスはウトロへひた走る。いくつもの漁村を抜けてウトロ、そして知床横断道路の山道へ入る。行く手に夕陽に映える羅臼岳を望み、「明日は天気かもしれない。」と期待をかける。
17:30ほのかに期待をしたのに、知床峠は雨。と云うか雲の中。おまけに風も強くて寒い。これが真夏とは。濃い霧の中、オホーツクの海は見えず。
7/21(月) 曇り 【羅臼岳～知床五湖】
4:50 「ホテル知床」をバスで出発。日本でいちばん東の知床、もう３時には明けはじめる。朝食なしで出発。
5:30 岩尾別登山口。ホテルと小屋がある。ここを基地にしたかったが叶わず。どんな所かなと、ちょっと興味あり。
どんよりした中、ザックカバーとスパッツをつけて出発。Ａ、Ｂ、Ｃの３つの班でまとまって行動することを確認。湿度が高く、樹林の中の道はむし暑い。混合林といえども、ここは北海道。シラカバやトドマツなど私たちには珍しい木が目立つ。「あれはトドマツ？ エゾマツ？」と言えば「天まで届け! のトドマツだよ。」と西岡さん。なるほど、枝を天へ伸ばしてる。
6:40 オホーツク展望所。霧のため展望なし。周りの木も大きくて晴れていてもそれほどの展望はないかもしれない。 再び樹林の中の道。火山特有の粘性の強い黒い道ではあるが、ガラ場もなく歩きやすい。ゴゼンタチバナなど林床の花が少しずつ増えてくる。曲がりくねった枝のダケカンバが多くなる。
8:00 弥三吉水。休憩にいい広場がある。が、数日来の雨でじめじめしており、早々に通過。丈は低くなったが、まだまだ樹林の中。
登山道は急坂をジグザグに登ったり平坦地に一息入れたりを繰り返して羽衣峠へ。大地場の草原になっており、視界が開ける。フウロやシコタンソウなど花が数を増す。ずっと先のガレ場にグリーンキャップが見える。速いなあ。
大沢。えぐられたようなガレ場。７月までは雪渓が残っているとのことでアイゼンを用意していたが、雪渓の残骸があっただけ。シコタンソウの控えめな色とエゾツツジの鮮やかな色が対照的な花のガレ場。（なんか変？）のんびりした道が続いただけに急坂のガレ場もまた面白かった。
9:00 ガレ場を登りきると羅臼平。なるほど、これが北海道のハイマツかと、丈が高い。晴れていたのに霧が再び深くなった。「まずは頂上に行こう。」ということになり、キャンプ地の荷物入れにザックをぎゅうぎゅう詰める。入らなかった人は上まで持って登る。
10:30 羅臼岳山頂。熔岩が累々と積み重なった円頂丘の山頂。残念ながら霧にはばまれ視界なし。雲の層も薄く流れも速いので、「もしかして」を期待して狭い山頂に居座るが、思い通りにはならない。人は多くなるし、直下の大岩で甲羅干し。回り道したＡ班とゆっくり組のＣ班を待つ。ところが「花がきれいかった。」と登ってきたＡ班の弁。「私たちも行こう。」とそそくさと下る。
12:00 羅臼平で昼食、その後羅臼温泉への道を下る。こちらには雪渓もかなり広く残っている。水をふくんだチングルマやエゾツツジがみごと。ハイマツ帯を抜けると、更に広いお花畑。楽しみにしていたエゾコザクラの大群落、ツガザクラ、ハクサンチドリ、キングサイズのヨツバシオガマやコケモモ、、、。
15:30 往路を引き返し登山口へ。ぬかるんだ急坂はきつかった。足湯で満足。
7/22(火) 晴れ時々雨 【斜里岳～阿寒湖温泉】
7:15 ホテル出発。欲の深いこと。バイキングだったためか朝食時間が長引き、出発が遅れてしまった。
9:15 斜里の町までスイスイ、羅臼岳も斜里岳もくっきり。予報は芳しくなかったけれど。「これで遅れを取り戻すかな。」という考えは甘かった。バスは弁当を受け取り、狭い山道を登りようやく登山口。
コロボックルが出そうなラワンブキの道を過ぎるといよいよ沢に出る。かなりの水量で流れも速い。流れは澄んでいるが、濡れた石は茶色に変色している。「滑るかもしれない。」と不安であったが、これは鉄分の多い水のためらしく、滑ることなく安心して渡られた。
10:30 下二俣。何回も沢を渡って、道標を見落としたかと思っていた頃、やっと到着。この調子じゃ時間がかかるなあ。水没した石、淵や滝の巻き道や崖。Ｃ班は、声を掛け合い皆の安全を確かめながらゆっくりゆっくり登る。
大小いくつもの滝が次々に現れ、疲れを感じさせない道。が、スラブや崖でも殆ど鎖やロープのない危険な道。手でひっぱりあげたり、お尻を押したり。ロスタイムを減らそうと２手に分かれることにする。
何度の渡渉があっただろうか。ようやく沢を詰めてきた。上から降りて来る人の話では、Ｂコースも難儀している模様。下りにこの道は使わないので苦しそうな中村さんを半ば強制的に上二俣で連れて行く。ごめんなさい。
12:20 上二俣。Ｃコースはここまでで下山することに。私は行ける所まで追っかけてみようと、上を目指す。朝、調達した(？)果物をほおばりすぐに出かける。樹間から斜里の頂上稜線が見え隠れしている。青空に映え早く早くと手招きしている。途中下りてきたＡ班に出合う。Ｂ班はまだ馬の背には達していない様子。よし、追っかけられると、道を急ぐ。胸突き八丁もガレ場もなんのその。
12:40 馬の背。下界が見渡せ、広々とした裾野が流れる雲に見え隠れしている。雲行きが怪しい。頂上には皆の姿が見える。ザックをデポし最後の登り。草付の急坂は、お花畑。チシマギキョウ、ヨツバシオガマ(アルプスより大型に見える)、ハクサンチドリ、そして鮮やかなチシマキンバイソウ、、、。先を急ぐ。
13:00 頂上。宮崎会長が待っていてくださり、残り１枚のフィルムに納めてもらう。昔読んだ小説に「母の眠る国後にいまだ帰れない。墓参のつもりで、毎年斜里登山をする。」というのがあった。しかし、今日は見えず、昨日の羅臼もそうだった。それが今回いちばんの心残りだなあ。
14:30 一度隠れた頂上も再び青空にそびえ、反対側には熊見峠。歩きやすい尾根道だけど、またあんなに登るのかと。峠で一息、斜里の姿がいい。
でも、ほんとうに大変だったのはそれからだった。九重に勝るとも劣らないぬかるみの急坂を下る下る、500mの標高差を一気に下る。
16:10下山と同時に雨が降り出す。大幅に遅れて下山。山々は雲に隠れ、摩周湖見物などとても無理。バスはひたすら阿寒の山へ向かう。
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